独自動車大手ダイムラーのディーター・ツェッチェ最高経営責任者(CEO)が、22日の年次株主総会をもって退任した。後任にはオラ・ケレニウス研究開発(R&D)担当取締役が就任。総会では事業部門の再編を巡り投票が行われた。ツェッチェ氏は2年間の「クーリングオフ」期間を経て、2021年に監査役会会長に就任する予定だ。
ツェッチェ氏は退任のスピーチで「当社は自動車産業の変革という大きなタスクに向け、主導的立場に立つための強さを確立した」と強調。この変革に向けて社歴の中で最大の変化を起こしているとした。総会では、メルセデス・ベンツ・カーズとバンを「メルセデス・ベンツ」、トラックとバスを「ダイムラー・トラック」にそれぞれ分社化し、既に独立している金融サービス事業は「ダイムラー・モビリティー」に名称を変更する事業再編計画について、株主が投票。承認を経て、新体制は11月1日にもスタートする予定だ。
ツェッチェ氏は1976年にダイムラーに入社し、1998年に取締役、2006年にダイムラークライスラー(当時)のCEOに就任した。就任後はクライスラーとの合併を解消するなど経営再建で手腕を振るった。高級車部門メルセデス・ベンツは同氏の下で金融危機後の販売不振から立ち直り、2016年には独BMWを抑えて12年ぶりに高級車市場で首位に立った。ダイムラーは2016年に同CEOの任期を3年延長し、2019年12月末までとしていたが、監査役会会長への就任に向けて退任時期を早めた格好だ。
後任のケレニウス氏は、2017年にR&D担当取締役に就任。それ以来、ツェッチェ氏の後継者と目されていた。ケレニウス氏はスウェーデン人で、ドイツ人以外がダイムラーのCEOに就くのは初めて。先にはグループの中期経営戦略「アンビション2039」を発表しており、乗用車のカーボンニュートラル化などを進め、持続可能なモビリティーの実現を目指す。[労務]
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