独総合電機大手シーメンスは8日、第2四半期(1~3月)の純利益が19億2,300万ユーロとなり、前年同期比5%減少したと発表した。なお同社は7日の監査役会で、電力・ガス部門のスピンオフ(事業の分離・独立)を決定した。
売上高は4%増の209億3,600万ユーロ。プロセス&ドライブ部門が10%拡大したほか、スピンオフ(事業の分離・独立)したヘルスケア部門「ヘルシニアーズ(Healthneers)」は9%、風力発電・再生可能エネルギーの新会社シーメンスガメサ・リニューアブル・エナジーは7%それぞれ拡大した。建築技術部門は5%伸び、デジタルファクトリー部門は4%増加。エネルギー管理部門は2%増えた。一方、電力・ガス部門は4%減少。鉄道などを手掛けるモビリティー部門は横ばいだった。
受注高は全体で236億700万ユーロと6%増加。モビリティー部門で大型受注を獲得したほか、ヘルシニアーズ、エネルギー管理部門、建築技術部門で受注が増加し、シーメンスガメサの大幅減少を補った。
産業向け事業の利益は7%増の24億600万ユーロ。うち電力・ガス部門は38%拡大した。産業向け事業の利益率は11.4%と、0.3ポイント上昇した。
シーメンスは2019年度について、売上高がわずかに増加し、産業向け事業の利益率が11~12%になるとの見通しを維持している。
■2020年9月までの上場目指す
シーメンスは7日、監査役会が全会一致で電力・ガス部門のスピンオフを承認したと公表した。事業再編計画「ビジョン2020+」の次のステップで、2020年9月までの上場を目指している。同社はこれに伴い、保有するシーメンスガメサの株式59%を電力・ガス部門分離後の新会社に譲渡するほか、電力・ガス部門の過半数株を放出する計画だが、新会社の後ろ盾としての立場は維持するとしている。
シーメンスの電力・ガス部門は、石油・ガスの採掘・生産のほか、ガスタービンや蒸気タービン、高圧送電システムなどの送電網技術を手掛ける。「ビジョン2020+」により、産業向け部門は「スマート・インフラストラクチャー(SI)部門」と「デジタル・インダストリーズ(DI)部門」を中核とする体制になる。同社は今回、SI部門で3,000人、DI部門で4,900人、企業管理職に従事する2,500人をそれぞれ整理すると発表。これらの効率改善策により、2023年までに22億ユーロのコスト削減が見込めるとしている。[M&A][労務]
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