欧州連合(EU)加盟国は15日、米国と正式な貿易交渉を開始することを賛成多数で承認した。欧州委員会に米国との交渉権限を与えており、欧州委は工業製品の関税引き下げ、および製品のEU・米国基準の適合を証明しやすくする適合性審査の2点に集中して進める。
EUは今回、各国が欧州委に与えた権限から農産物を除外。農業国に配慮した形だが、採決ではフランスが反対したほか、ベルギーが棄権した。欧州委は工業製品の関税引き下げにより、2033年までにEUの対米輸出は8%、米国の対EU輸出は9%それぞれ拡大すると試算している。
EUと米国は2013年に貿易交渉を開始。たが、トランプ米政権の誕生により中止された。トランプ大統領は昨年、安全保障上の懸念を理由に鉄鋼・アルミニウムの輸入への高関税を導入し、これを自動車や自動車部品にも拡大することを示唆。これに対してEUは同年7月に米国と貿易障壁の軽減に取り組むことで合意し、自動車輸入に25%の高関税を課す可能性は回避されていた。
自動車・車部品の対米輸出においてEU全体の半分を占めるドイツは、米国との貿易交渉に最も積極的とされる。一方、フランスは自動車の高関税による影響が少ない上、マクロン仏大統領は地球温暖化対策の国際的枠組みである「パリ協定」から離脱した米国とは交渉すべきではないと主張。気候変動について協議するよう求めているが、交渉対象にすることは厳しいと見られている。[EU規制]
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