金融情報サービス会社IHSマークイットは21日、2月のユーロ圏総合PMI(購買担当者景気指数、速報値)が51.4ポイントとなったと発表した。前月から0.4ポイント上昇。景気の「改善」と「悪化」の境目である50ポイントは68カ月連続で超え、過去3カ月で最高を記録した。
ユーロ圏の製造業PMIは49.2ポイントと、1月から大きく1.3ポイント低下。分岐点を下回り、過去68カ月で最低に沈んだ。新規受注は過去6年近くで最も落ち込み、うち輸出向けは前月から落ち込みが加速した。一方、事業見通しは製造業で低下したものの、サービス業が押し上げ、全体では過去4カ月で最高に達している。
製造業PMIの国別データを見ると、ドイツは47.6ポイントと大きく2.1ポイント低下。引き続き悪化圏にとどまり、過去74カ月で最低を記録した。一方、フランスは0.2ポイント上昇して51.4ポイントとなり、過去5カ月で最も高い。
ユーロ圏総合指数のうち、生産高は伸びがやや加速したものの、新規受注は2カ月連続で減少。一方、雇用は堅調に増加した。仕入れ価格は、上昇幅が過去1年半で最も小さい。出荷価格の伸びも過去18カ月で最も減速している。回答企業は、ドイツの製造業における不振の背景として自動車業界を巡る問題が依然として続いていることを指摘。半面、フランスは反政府デモ「黄色いベスト」運動による混乱が残るものの、製造業の生産高は安定化していると分析する。
■サービス業は仏が悪化圏脱却できず
ユーロ圏のサービス業PMIは52.3ポイントと、1.1ポイント上昇。国別ではドイツが55.1ポイントで、前月を2.1ポイント上回った。フランスも49.8ポイントと2ポイント伸び、過去3カ月で最高に達したものの、悪化圏に引き続きとどまった。
IHSマークイットのクリス・ウィリアムソン首席ビジネス・エコノミストは、2月のユーロ圏経済はほぼ停滞しており、成長ペースは2014年以降で最も低い部類になっていると指摘。第1四半期(1~3月)の域内総生産(GDP)成長率は0.1%にとどまるとの見方を示した。ドイツが0.2%増える一方、フランスではゼロ%もしくはマイナス成長に沈む可能性があり、これら2カ国を除く他のユーロ圏でも2013年後半以降で最も停滞している状態にあると懸念を示した。
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