欧州航空・防衛最大手エアバスは14日、超大型旅客機「A380」の生産を2021年に終了すると発表した。アラブ首長国連邦(UAE)ドバイ首長国のエミレーツ航空が同機の発注数を162機から123機に減らしたことを受けて決めた。
エアバスは、向こう2年に同社からの受注残14機を納入し、それを最後に同機種の生産を終了する。一方、エミレーツ航空はエアバスにワイドボディー機の「A330」40機と「A350」30機を新規発注した。
「A380」は2007年に第1号機が就航。しかし、直後に起きた金融危機などを背景に顧客が燃費の悪さや割高な価格を敬遠し、より小型で燃費の良いワイドボディー機に需要が流れたため苦戦が続いていた。黒字転換は1度も果たせず、先にはエミレーツ航空からの受注により生産停止を免れていた。
エアバスは「A380」の生産終了に伴い、向こう3年で3,000~3,500人の従業員が影響を受けるとしている。ただこのうち多くは、中距離向け旅客機「A320」の増産やエミレーツからの新規受注に対応するため配置転換できるとの見方を示した。「A380」はフランス、ドイツ、スペイン、英国で部品を生産し、仏南西部トゥールーズ(Toulouse)の本社工場と独北部ハンブルク工場で組み立てている。[労務]
■通期は29%増益
エアバスはこの日、2018年12月通期の純利益が30億5,400万ユーロとなり、前期比29%増加したと発表した。「A380」と新型軍用輸送機「A400M」の生産調整に伴い、利益がそれぞれ4億6,300万ユーロ、4億3,600万ユーロ押し下げられたものの、売り上げが力強く伸び大幅増益を達成した。
売上高は8%増の637億700万ユーロ。うち主力の民間機部門は10%増えている。グループのEBIT(利払い・税引き前利益、特別損益除く)は58億3,400万ユーロと、1年前の31億9,000万ユーロから2倍近くに伸びている。2018年の民間機納入は800機と、過去最高を記録した。2019年は880~890機の民間機納入を目指す。
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