日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)が2月1日、発効する。EU側が貿易品目の99%、日本側が94%の関税を撤廃する。全世界の国内総生産(GDP)の約3割を占める日本とEUが世界最大級の自由貿易圏を形成することにより、保護貿易主義的な傾向の強まる世界に自由貿易を推進する姿勢を示すことになる。
欧州委員会のユンケル委員長は、EPAの発効により「欧州と日本は世界に自由で公正な貿易の未来についてのメッセージを発する」とコメント。欧州委のマルムストローム貿易担当委員も「欧州企業は関税撤廃や通関手続きの簡素化といった恩恵を受ける」と喜びを表した。また、野上官房副長官も、EPAは「日本とEUが自由貿易を力強く前進させていくとのゆるぎない政治意思を全世界に対して示す戦略的意義を有している」と話している。
日本に輸出するEU企業は現在、年間計10億ユーロの関税を支払っているが、EPAの発効後はそのほとんどが撤廃される。EU側は特に、チーズやワインの関税撤廃や牛肉輸出量の拡大、欧州産品の地理的表示(GI)が日本で保護されることに期待している。
一方、日本にとってはEUに輸出する乗用車や自動車部品の関税が撤廃される恩恵がある。乗用車の関税(現行税率10%)は8年目に撤廃、自動車部品は貿易額ベースで92.1%の関税が即時撤廃される。また、日本からEUに輸出される農林水産品は、牛肉、茶、水産物などの輸出重点品目を含め、ほとんどの品目で関税が即時撤廃される。日本産の酒類は関税撤廃に加え輸入規制の撤廃やGI保護が図られるため、輸出拡大が期待されている。
欧州委はEPAの将来的な完全施行により、日EU間の貿易高は年間最大360億ユーロ近く拡大すると予測する。
■ワイン値下げで早くも恩恵
ファミリーマートは1月31日、日欧EPAの発効を受けて、フランス、イタリア、スペイン産のワインを2月2日から値下げすると発表した。値下げの対象商品は全14品で、値引き率は3~17%。最大の値引き率はスペイン産スパークリングワインのカバ(Cava)に適用され、従来の1,296円から1,080円へと216円安くなる。
また、セブン&アイ・ホールディングスも既に、自社のプライベートブランド(PB)であるセブンプレミアムの欧州産ワイン3品を2月1日から値下げする方針を明らかにしている。取り扱い店舗は、傘下のセブン―イレブンやイトーヨーカドーなど約2万700店舗。「ビノセント」の赤ワインと白ワインは、これまでの498円から458円へと8%値下げされる。[EU規制]
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