金融情報サービス会社IHSマークイットは14日、12月のユーロ圏総合PMI(購買担当者景気指数、速報値)が51.3ポイントとなったと発表した。前月から1.4ポイント低下。景気の「改善」と「悪化」の境目である50ポイントは66カ月連続で超えたものの、市場予想を大幅に下回り、2014年11月以降で最低を記録した。
ユーロ圏の製造業PMIは51.4ポイント。11月から0.4ポイント低下し、過去34カ月で最低に沈んだ。生産高の伸びはやや加速したものの、過去4年で2番目に小さい。輸出向けを含む新規受注は3カ月連続で減少。事業見通しは過去6年で最も落ち込んでいる。
製造業PMIの国別データを見ると、ドイツは51.5ポイントと0.3ポイント低下し、過去33カ月で最低を記録。フランスは1.1ポイント下がって49.7ポイントと分岐点を下回り、過去27カ月で最も低い。
ユーロ圏総合指数のうち、新規受注は勢いがほぼ停滞。輸出向け受注は3カ月連続でマイナスとなり、落ち込み幅は過去4年超で最大だった。一方、雇用は堅調に増加。仕入れ価格は上昇幅が過去8カ月で最も小さく、出荷価格の伸びは2017年9月以降で最も減速した。回答企業は貿易摩擦や経済成長、政治的不透明感、英国の欧州連合(EU)離脱、緊縮財政に対する懸念を示し、特に自動車業界での生産・販売不振を訴える声が引き続き多かった。
■サービス業は仏が悪化圏入り
ユーロ圏のサービス業PMIは51.4ポイントと、2ポイント下落。国別ではドイツが52.5ポイントで、前月を0.8ポイント下回った。フランスは49.6ポイントと大きく5.5ポイント下落し、悪化圏に入った上、過去34カ月で最低に沈んでいる。
IHSマークイットのクリス・ウィリアムソン首席ビジネス・エコノミストは、ユーロ圏経済は残念な1年の終わりを迎えたと指摘。第4四半期(10~12月)の域内総生産(GDP)成長率は0.3%弱にとどまるとの見方を示し、12月に限ると0.1%に大幅減速したとみる。一部の減速はフランスで起こっている「黄色いベスト」デモに起因するが、今回の結果はユーロ圏で全体的に実質成長率が減速していることも反映していると分析した。
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。