金融情報サービス会社IHSマークイットは3日、11月のユーロ圏製造業PMI(購買担当者景気指数、確定値)が51.8ポイントになったと発表した。速報値から0.3ポイント上方修正されたが、前月を0.2ポイント下回っている。景気の「改善」と「悪化」の境目である50ポイントは65カ月連続で超えたものの、2016年8月以降で最低を記録した。
調査対象の8カ国のうち、オランダは56.1ポイントと過去25カ月で最低を記録。イタリアは48.6ポイントと、過去47カ月で最低に沈んでいる。一方、ギリシャは54ポイントと過去6カ月で最高に達し、スペインは52.6ポイントと過去3カ月で最も高い。アイルランドは55.4ポイント、オーストリアは54.9ポイントにそれぞれ上昇した。
ユーロ圏経済をけん引するドイツは51.8ポイント。速報値から0.2ポイント上方修正されたが10月を0.4ポイント下回り、過去31カ月で最低を記録した。新規受注の縮小幅は過去4年で最大となり、特に輸出向けは2013年6月以降で最も落ち込んでいる。生産高は引き続き増えたものの、伸びは2013年5月以降で最小。雇用ペースは過去2年近くで最も減速している。
フランスは50.8ポイントで速報値から0.1ポイント上方修正され、10月からは0.4ポイント低下。生産高は27カ月ぶりに落ち込んだ前月から横ばいで、輸出向け受注は過去5カ月で4度目の減少。雇用は過去2年超で初めて減少に転じた。
ユーロ圏製造業PMIのサブ指数を見ると、新規受注は輸出向けが2カ月連続で落ち込んだ。生産高は増加したが、自動車産業の不振が響き、伸びは過去5年半近くで最も小さい。雇用ペースは、2016年9月以降で最低。仕入れ価格は、特にドイツとオーストリアで伸びが加速。出荷価格も大きく伸びたが、過去15カ月で最低となった。
IHSマークイットのクリス・ウィリアムソン首席ビジネス・エコノミストは「今回の結果は、製造業の生産高が第4四半期(10〜12月)に域内経済の足を引っ張る可能性を示した」と指摘。見通しの暗さは貿易紛争や関税、政治的不透明感の高まりが要因で、これらがリスク回避傾向の増大や投資などの支出縮小につながったと分析している。
■英国はわずかに上昇
IHSマークイットによると、11月の英国の製造業PMIは53.1ポイント。過去27カ月で最低を記録した10月から2ポイント上昇し、分岐点の50ポイントを28カ月連続で超えたが、依然として過去2年半では最も低い部類に入る。
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