金融情報サービス会社IHSマークイットは23日、11月のユーロ圏総合PMI(購買担当者景気指数、速報値)が52.4ポイントとなったと発表した。前月から0.7ポイント低下。景気の「改善」と「悪化」の境目である50ポイントは65カ月連続で超えたものの、市場予想を大幅に下回り、2014年12月以降で最低を記録した。
ユーロ圏の製造業PMIは51.5ポイント。10月から0.5ポイント低下し、過去30カ月で最低に沈んだ。生産高の伸びは2013年7月以降で最も減速。輸出向けを含む新規受注は2カ月連続で減少しており、各メーカーは政治・経済的不透明感や貿易摩擦、乗用車販売の不振に起因する世界的な需要減退を理由に挙げている。
製造業PMIの国別データを見ると、ドイツは51.6ポイントと0.6ポイント低下し、過去32カ月で最低。フランスは0.5ポイント下がり、過去26カ月で最も低い50.7ポイントだった。
ユーロ圏総合指数のうち、新規受注は2015年初め以降で最も減速。輸出向け受注は2カ月連続でマイナスとなり、落ち込み幅は過去4年で最大だった。雇用ペースは過去22カ月で最も減速している。仕入れ価格は上昇幅がやや縮小したものの依然として高く、出荷価格の伸びは前月の高水準を維持している。
■サービス業も独仏が低下
ユーロ圏のサービス業PMIは53.1ポイントと、0.6ポイント下落。国別ではドイツが53.3ポイントで、前月を1.4ポイント下回った。フランスは55ポイントと0.3ポイント低下している。
IHSマークイットのクリス・ウィリアムソン首席エコノミストは今回の結果を受け、ユーロ圏経済は残念な1年の終わりを迎えるだろうと指摘。第4四半期(10~12月)の域内総生産(GDP)成長率は、0.3%に減速するとの見方を改めて示した。調査でのインフレ圧力の高まりは、より確実なインフレ回復を求める欧州中央銀行(ECB)にとり好材料ではあるものの、期待外れの企業活動データは、成長見通しへのリスクが下振れ方向に傾いていることを示していると警鐘を鳴らしている。
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