ドイツの企業向けソフト大手SAPは11日、エクスペリエンス管理ソフトを手掛ける米クアルトリクス(Qualtrics)の全発行済み株式を取得することで合意したと発表した。取引額は80億ドル。クアルトリクスが計画していた新規株式公開(IPO)の実施を前に買収に踏み切った格好。
SAPは現金で全株を取得する方針で、これに向け既に70億ドルを調達しているという。両社の株主は既に買収に合意しており、取引は関係当局の承認を経て、来年6月末までの完了を見込む。買収後もクアルトリクスはSAP傘下の独立したブランドとして運営し、ライアン・スミス最高経営責任者(CEO)が引き続き指揮を執る。米国ユタ州プロボ(Provo)とシアトルに本社を置く2本社体制も維持する。
クアルトリクスは、昨年4月に実施した最後の資金調達ラウンドで、企業価値が約25億ドルと評価されていた。近く実施する予定だったIPOでは企業価値が約45億ドルに達するとみられていたが、今回の買収額はこれらを大きく上回る金額となった。
クアルトリクスは2002年の創業。企業や組織向けのアンケート調査プラットフォームの提供や、顧客・従業員・製品・ブランドのエクスペリエンスデータの分析クラウドプラットフォームを手掛ける。2017年の売上高は2億8,990万ドル、営業利益は310万ドル。今年の売上高は4億ドルを超える見通しだという。[M&A]
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