金融情報サービス会社IHSマークイットは2日、10月のユーロ圏製造業PMI(購買担当者景気指数、確定値)が52ポイントになったと発表した。速報値から0.1ポイント下方修正され、前月を1.2ポイント下回っている。景気の「改善」と「悪化」の境目である50ポイントは64カ月連続で超えたものの、2016年8月以降で最低を記録した。
調査対象の8カ国のうち、オランダは57.1ポイントと過去21カ月で最低を記録。アイルランドは54.9ポイントで過去7カ月で最も低く、オーストリアは過去25カ月で最低の53.8ポイントにとどまった。ギリシャは53.1ポイントと過去6カ月で最低。イタリアは49.2ポイントと、過去46カ月で最低水準となっている。一方、スペインは51.8ポイントと2カ月連続で上昇した。
ユーロ圏経済をけん引するドイツは52.2ポイント。速報値から0.1ポイント下方修正されて9月を1.5ポイント下回り、過去29カ月で最低を記録した。生産高の伸びは2014年11月以降で最低となり、新規受注は同月以来、初めて縮小に転じた。一方、雇用の伸びは加速したもの、2017年2月以降で最も小さい。
フランスは51.2ポイントで速報値から変化がなく、9月からは1.3ポイント低下。生産高は27カ月ぶりに落ち込み、新規受注の伸びは過去4カ月で最低となった。輸出向け受注は過去4カ月で3度目の減少。雇用ペースは過去2年で最も減速した。
ユーロ圏製造業PMIのサブ指数を見ると、新規受注は輸出向けが約5年半ぶりに落ち込んだ。生産高は増加したものの、伸びは2014年12月以降で最も小さい。雇用の拡大ペースは、2016年12月以降で最低。仕入れ価格は、エネルギーや食品価格の上昇を背景に伸びが加速。出荷価格も大きく伸びたが、過去14カ月で最低となった。
IHSマークイットのクリス・ウィリアムソン首席ビジネス・エコノミストは「ユーロ圏製造業を巡る懸念が第4四半期(10〜12月)の初めに高まった」と指摘。貿易紛争が過熱するにつれ新規受注が約4年ぶりに減少し輸出も落ち込んだほか、自動車業界が新たな排出規制の影響で低迷し、再び押し下げ要因となったと分析している。[環境ニュース][EU規制]
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