欧州議会(定数751)は3日、欧州連合(EU)のVAT(付加価値税)改革に向けた2案を承認した。VATシステムの簡素化やVAT絡みの不正対策が狙い。VAT制度の大幅な見直しは約四半世紀ぶりとなる。
欧州議会は今回、単一市場で特に中小企業(SME)を対象に取引を促進し、国境を超えた取引を巡るVAT不正をなくすための対策案を536対19の賛成多数で可決。また、VAT税率のより明確なシステムの確立については、やはり536人が賛成票を投じた。
議会は一方で、VATの税率に25%の上限を設定することを求めたほか、紛争解決メカニズムや各国のVAT規制の変更を自動的に周知させるシステム、EU全域のVAT税率に関する正しい情報を得られる情報ポータルの構築を提案した。これらの提案を含めたVAT改革案は理事会で審議される。
欧州委によると、国境を越えた取引のVAT不正による徴税漏れは、域内全体で年間500億ユーロに上る。また同委は9月、VATの予想税収額と実際の税収額の差を表す「VATギャップ」が2016年にEU全体で1,471億4,600万ユーロに上ったと発表。システムの簡素化により、VATギャップの大幅縮小が期待されている。
欧州委は2016年4月、EUのVAT改革に向けた行動計画を発表。昨年10月には抜本的改革案を明らかにしていた。
■電子書籍にも軽減税率導入へ
EUの財務相会合は2日、書籍への軽減税率を電子書籍にも拡大することで合意した。現在は最低15%の標準税率が適用されているが、今回の決定により、各国の裁量で最低ゼロ%の軽減税率の導入が認められることになる。[EU規制]
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