金融情報サービス会社IHSマークイットは1日、9月のユーロ圏製造業PMI(購買担当者景気指数、確定値)が53.2ポイントになったと発表した。速報値から0.1ポイント、前月からは1.4ポイントそれぞれ低下。2016年9月以降で最低となった。ただ、景気の「改善」と「悪化」の境目である50ポイントは63カ月連続で超えている。
調査対象の8カ国のうち、アイルランドは56.3ポイント、ギリシャは53.6ポイントにそれぞれ低下した。オーストリアは55ポイントと過去23カ月で最低に沈んだ。スペインは51.4ポイント、イタリアは50ポイントと、共に過去25カ月で最低を記録。一方、オランダは59.8ポイントと過去3カ月で最も高い。
ユーロ圏経済をけん引するドイツは53.7ポイント。速報値から変化がなく、8月を2.2ポイント下回り、過去25カ月で最低を記録した。新規受注の伸びは過去4年弱で最低となり、生産高の伸びも過去2年半弱で最も低い水準に落ち込んだ。雇用の伸びも昨年2月以降で最も減速している。
フランスは52.5ポイントと、こちらも速報値から変化がなく、8月からは1ポイント低下。生産高の伸びは過去2年で最低となり、新規受注の伸びも減速した。輸出向け受注は再び減少に転じた。雇用ペースは拡大基調を維持している。
ユーロ圏製造業PMIのサブ指数を見ると、生産高の伸びは2016年5月以降で最も小さい。新規受注は輸出向けが落ち込み、過去25カ月で最低に沈んだ。雇用は堅調に増えているものの、ペースは過去1年半で最低水準となった。仕入れ価格の上昇幅は過去13カ月で最も小さかった一方、出荷価格の伸びは過去3カ月で最高となった。
IHSマークイットのクリス・ウィリアムソン首席エコノミストは、輸出の停滞が生産高と雇用の伸び悩みにつながったと指摘。貿易紛争と関税、政治的な先行き不透明感の高まり、インフレの加速に影響された需要の冷え込みが背景にあると分析している。また、生産高の伸びが新規受注を上回っていることから、第4四半期(10~12月)に向けて生産高と雇用の伸びがさらに減速すると分析している。
■英国はわずかに上昇
IHSマークイットによると、9月の英国の製造業PMIは53.8ポイント。8月から0.8ポイント上昇し、分岐点の50ポイントを26カ月連続で超えている。
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