米高級ファッションブランドのマイケル・コース(Michael Kors)は25日、伊高級ファッションブランドのジャンニ・ヴェルサーチの全株式を取得することで合意したと発表した。取引額はヴェルサーチの企業価値を18億3,000万ユーロと評価した水準としている。
マイケル・コースのジョン・アイドル最高経営責任者(CEO)は今回、ヴェルサーチの売上高を20億ドル超に引き上げる目標を掲げ、成長に向けた投資を行う方針を表明。ヴェルサーチの総店舗数を、100店舗増の300店舗にするほか、売り上げに占めるアクセサリーと靴のシェアを、現在の35%から60%に拡大するとしている。さらに電子商取引(eコマース)やオムニチャネル販売を加速する計画。
なお、ヴェルサーチの創業者ジャンニ氏の妹で、クリエーティブ・ディレクターのドナテラ・ヴェルサーチ氏は、引き続きクリエーティブ面を統括するほか、ジョナサン・エイクロイドCEOも引き続きブランドの経営陣を率いる。ヴェルサーチは、創業者一族の投資会社が経営権を握るが、2014年に20%株を米投資ファンドのブラックストーン・グループに売却。その後、新規株式公開(IPO)か事業売却の可能性が取り沙汰されていた。
マイケル・コースは併せて、社名をカプリ(Capri)・ホールディングスに改称すると発表。同社は欧州高級ファッション市場でのポートフォリオの多様化を狙っており、2017年7月には英高級靴ブランドのジミー・チュウを8億9,600万ポンドで買収することで合意した。
欧州の高級ファッションブランド業界は統合が進んでおり、仏「ルイヴィトン」や「ディオール」、伊「フェンディ」が仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンの傘下に、また伊「グッチ」や仏「イヴ・サンローラン」などが仏ケリング(Kering、旧PPR)の傘下に入っている。こうした中、ヴェルサーチは数少ない独立系のブランドだった。[M&A]
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