金融情報サービス会社IHSマークイットは21日、9月のユーロ圏総合PMI(購買担当者景気指数、速報値)が54.2ポイントとなったと発表した。前月から0.3ポイント低下。景気の「改善」と「悪化」の境目である50ポイントは63カ月連続で超えたものの、市場予想を下回り、過去4カ月で最も低い。
ユーロ圏の製造業PMIは53.3ポイント。8月から1.3ポイント低下し、過去2年で最低に沈んだ。生産高の伸びは2016年5月以降で最も減速。新規受注の伸びは2015年2月以降で最も小さい水準に並び、輸出向け受注は2013年6月以来で初の減少に転じている。
製造業PMIの国別データを見ると、ドイツは53.7ポイントと大きく2.2ポイント低下し、過去25カ月で最低。フランスは1ポイント下回り、52.5ポイントとなった。
ユーロ圏総合指数のうち、生産高の増加ペースは鈍化。新規受注は2016年10月以降で最も減速した。雇用ペースはやや下がったものの、高水準で推移している。仕入れ価格と出荷価格は共に引き続き上昇した。
■サービス業は独が上昇
ユーロ圏のサービス業PMIは54.7ポイントと、0.3ポイント上昇。国別ではドイツが56.5ポイントで、前月を1.5ポイント上回った。一方、フランスは54.3ポイントと1.1ポイント低下した。
IHSマークイットのクリス・ウィリアムソン首席エコノミストは「貿易戦争、英国の欧州連合(EU)離脱、特に自動車業界での世界的需要減退、リスク回避傾向、ユーロ圏内外での政治的不透明感、これら全てが企業活動の減速につながった」と指摘。製造業が減速した一方、サービス業が伸びたことで、第3四半期(7~9月)の域内総生産(GDP)成長率は0.5%になるとし、前回予測から上方修正した。ただ、今後の見通しは過去2年で最低の水準に迫っており、下振れリスクがあると警告している。
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