カナダの小売大手ハドソンズ・ベイ(Hudson's Bay)とオーストリアの不動産大手シグナ(Signa)・ホールディングは11日、欧州の小売事業と不動産事業で戦略的提携を結ぶと発表した。それぞれの傘下にある独百貨店のガレリア・カウフホーフ(Galeria Kaufhof)とカールシュタット(Karstadt)を経営統合する。これにより、総店舗数243店舗、総売上高50億ユーロ超のオムニチャネル企業が誕生する格好だ。
合意によると、カウフホーフを含むハドソンズ・ベイの欧州小売事業、カールシュタット、カールシュタット・スポーツ、両社のケータリング部門を統合。新会社にはハドソンズ・ベイが49.99%、シグナが50.01%をそれぞれ出資する。トップにはカールシュタットのシュテファン・ファンダール最高経営責任者(CEO)が就き、ハドソンズ・ベイとシグナは取締役会にそれぞれ3人を送り込む。
これら事業は従業員3万2,000人を擁し、昨年の売上高は計54億ユーロだった。新会社には関連事業の全ての電子商取引(eコマース)プラットフォームが統合されるため、オンライン販売も強化される見通し。
また、シグナはハドソンズ・ベイのドイツ不動産事業の50%株を取得し、合弁化する。同事業の市場価値を32億5,000万ユーロと見積もった計算で、ハドソンズ・ベイに4億1,100万ユーロを支払う。これら資産にはハドソンズ・ベイの不動産39件、カウフホーフの不動産18件が含まれる。
一連の取引は欧州委員会の承認を経て、向こう90日以内に完了する見込み。ファンダールCEOは「象徴的な2社が、競争が激化しているドイツと欧州の小売市場で成功するための理想的な解決方法にたどり着いた。統合により、デジタル化の機会と市中心部での小売りにおける強みをこれまでにないほど活用できる」と事業統合の意義を強調している。[M&A][労務]
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