英ホテル・外食大手のウィットブレッドは8月31日、傘下のコーヒーチェーン、コスタを米コカ・コーラに39億ポンドで売却することで合意したと発表した。同社はコスタをスピンオフ(分離・上場)する方針だったが、コカ・コーラに売却する方が株主利益が大きいと判断した。ウィットブレッドは今後、傘下の低価格ホテル、プレミアインの運営に注力する。
同社によると、コカ・コーラへの売却額はコスタの2018年通期EBITDA(利払い・税引き前・償却前利益)見通しの16.4倍に相当し、ブランドの強みやチャネルの多様性、国際展開の可能性が反映されている。売却益は株主に還元するほか、プレミアインの事業拡大への投資や、負債返済、年金基金の増強に充てる。取引は株主や当局からの承認を得た上で、2019年前半に完了する見通し。
同社はかねて、コスタの事業価値を23億ポンドと評価していた。同社のアリソン・ブリテイン最高経営責任者(CEO)はこの取引について、「コスタを分離した場合と比べてはるかに大きな利益が得られる」と説明。「純収入の大部分は株主に還元する」と話している。
ウィットブレッドは4月、2020年までにコスタをスピンオフする方針を明らかにしていた。背景には、ウィットブレッドの株式合わせて10%を握るヘッジファンドの米エリオット・アドバイザーズとセイチェム・ヘッド(Sachem Head)・キャピタル・マネジメントがコスタの分離を要求していたことがある。両社はプレミアインの分離も求めている。
ウィットブレッドは1995年にコスタを創業者から1,900万ポンドで買収。当時39店だったコスタを、国内コーヒーチェーン最大手に育てた。現在は国内2,400店舗以上、海外31カ国で約1,400店舗を展開するほか、世界8,237カ所に自販機型コーヒーマシンの「コスタ・エクスプレス」を設置している。
コカ・コーラはコスタを足掛かりに世界のコーヒー市場に参入し、食品世界大手ネスレ(スイス)や米コーヒーショップ・チェーン大手スターバックスなどと競合することになる。同社のジェームズ・クインシーCEOは「コスタの買収により、コーヒーのノウハウや専門知識を獲得できる」とコメント。「当社のシステムは、コスタが世界的ブランドに成長するチャンスを生み出す」と話している。[M&A]
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。