ドイツの鉄鋼・エンジニアリング大手ティッセンクルップは9日、第3四半期(4~6月)の純損失が1億1,400万ユーロとなり、前年同期の1億3,400万ユーロの黒字から赤字に転落したと発表した。売り上げは伸びたが、インダストリアル・ソリューションズ部門を中心にコストがかさみ、足を引っ張った。
売上高は111億1,700万ユーロと、継続事業ベースで7%増加。同社は昨年9月、ブラジルのCSA製鉄所の売却を完了したことに伴い、米大陸事業スチール・アメリカズを非継続事業に分類しており、同事業を含めて比較すると2%の増収となる。
部門別に見ると、3分の1を占める主力のマテリアル・サービス部門は10%伸びた。欧州の鉄鋼事業と部品テクノロジー部門もそれぞれ7%、4%増えている。エレベーター・テクノロジー部門は1%の微減。インダストリアル・ソリューションズ部門はほぼ横ばいだった。
グループの受注高は継続事業ベースで7%増の108億8,600万ユーロ。本業のもうけを示すEBIT(利払い・税引き前利益、特別損益除く)は3億3,200万ユーロと、36%落ち込んだ。これをベースとする利益率は3%と、1年前から2ポイント低下している。
ティッセンクルップは通期について、特別損益を除くEBITがおよそ18億ユーロになると予想。18億ユーロ〜20億ユーロになるとしていた見通しを下方修正した。
■トップ交代で経営改革加速も
なお、ティッセンクルップは6月に、インドの鉄鋼大手タタ・スチールと欧州鉄鋼事業を統合し、折半出資の合弁会社を設立することで最終合意に至った。ただ、7月にはハインリヒ・ヒージンガー最高経営責任者(CEO)とウルリッヒ・レーナー会長が相次いで辞意を表明している。両氏は共に、経営方針を巡り主要株主から理解が得られなかったことを理由に挙げており、トップの交代で経営改革が加速する可能性もある。
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