アイルランドの格安航空大手ライアンエアーが、欧州各地でパイロットらの相次ぐストライキに見舞われている。数カ月にわたる労使交渉に大きな進展がみられないためで、10日にはアイルランドやドイツなど5カ国を拠点とするパイロットが同時に実力行使に踏み切る方針。ストの効果を最大化するため歩調を合わせたもので、夏の休暇シーズンの乗客約7万2,000人の足に影響が出る見通しだ。
ライアンエアーは長らく労組を認めてこなかったが、昨年のクリスマス休暇を前にしたスト計画を阻止するため、各国のパイロット労組と労組認定に向けた協議を行うよう方針を転換。以来、従業員は賃金引き上げや契約内容の見直しなど待遇改善に向けて声を強めており、会社側は対応に追われている。
こうした流れの中、ドイツのパイロット労組のコックピット労働組合(VC)は10日にストを実施することを表明。かねてストの意向を示していたアイルランドとベルギー、スウェーデンに歩調を合わせたもので、パイロット480人が参加し、ドイツ発着便のうち250便が欠航となる。ライアンエアーは、欠航便の対象となる乗客に対してチケットの払い戻しや別便への振り替えで対応している。
アイルランドは10日のストが5度目で、300便のうち20便がキャンセルされる。スウェーデンとベルギーではそれぞれ22便、104便が欠航する見通しで、この日のキャンセル便は計約400便に達する見込みだ。
また、オランダ航空業界労働組合(VLV)も併せて、10日に24時間ストを行う方針だと発表。VLVは声明で「欧州のパイロットのストはライアンエアーの経営陣にとって警鐘となるはずだ」と述べている。
なお、ライアンエアーの従業員は7月にもスペイン、ポルトガル、イタリア、ベルギーなどでストを行い、計600便が欠航。乗客約10万人に影響が出た。[労務]
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