トランプ米政権は7日午前0時(現地時間)、イラン核合意に基づき解除していた対イラン経済制裁の一部を再発動した。同国の自動車関連やドル建ての取引などが対象となる。イランのロウハニ大統領は、今回の措置は「イラン国民を分断させるための心理戦」として、米国を強く非難。一方、英独仏は共同声明を発表し、核合意は世界の安全保障において極めて重要とした上で、欧州企業の事業活動を保護していく方針を示した。BBC電子版などが伝えた。
トランプ米大統領は5月、イラン核合意から単独で離脱するとともに、対イラン経済制裁を再開する方針を表明。制裁解除の条件として、ウラン濃縮や弾道ミサイル技術の拡散の停止、シリアからの撤退など、12項目を提示している。今回の制裁は第1弾となり、自動車分野やイラン政府による米ドルの取得のほか、貴金属や石炭、産業用のソフトウエアなどの取引も対象となる。11月には第2弾として、エネルギーや海運、保険といった分野に制裁を拡大する計画。米国はかねて各国に対し、11月からイランからの石油輸入を停止するよう呼び掛けている。
トランプ大統領は一方、イランの指導部と話し合う意向を示しており、「地域内での敵意のある行動を止め、核兵器開発を完全に放棄する包括的な取引であれば、いつでも協議する」とした。ロウハニ大統領はこれに対し、「われわれは常に対話を支持しているが、対話には誠実であることが必要」と述べている。
また、欧州連合(EU)はこの日、経済制裁再開への対抗策として、第三国が制定した法律の適用を阻止する「ブロッキング規則」を発動した。欧州企業が米国の制裁下でもイランでの事業を継続できるよう保護する目的で、EUは「正当な業務」を行う企業を支援していく姿勢を打ち出した形だ。
■ダイムラー、イラン事業拡大を撤回
独自動車大手ダイムラーは7日、米国の対イラン制裁の再発動を受け、同国での事業拡大計画を撤回すると明らかにした。ダイムラーはロイター通信に対し「制裁適応に伴い、既に制限されているイランでの事業活動を停止した」と明言。同社は2016年、同国でのメルセデス・ベンツのトラックの生産・販売に向け、イランの国営自動車メーカー、イラン・ホドロ(Khodro)・インダストリアル・グループ(IKCO)と合弁会社を設立していた。[EU規制]
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