金融情報サービス会社IHSマークイットは1日、7月のユーロ圏製造業PMI(購買担当者景気指数、確定値)が55.1ポイントになったと発表した。速報値から変化がなく、過去18カ月で最低に沈んだ前月から0.2ポイント上昇。景気の「改善」と「悪化」の境目である50ポイントは61カ月連続で超えている。
調査対象の8カ国のうち、オランダは58ポイントと過去14カ月で最低を記録。アイルランドは56.3ポイントに低下し、イタリアは51.5ポイントと過去21カ月で最低に沈んだ。スペインは過去11カ月で最も低い52.9ポイントとなっている。ギリシャは53.5ポイントで横ばい。一方、オーストリアは56.8ポイントに上昇した。
ユーロ圏経済をけん引するドイツは56.9ポイント。速報値から0.4ポイント下方修正されたが、6月を1ポイント上回った。生産高の伸びは過去3カ月で最高。新規受注も伸びたが、年初に比べて勢いは弱い。雇用は引き続き拡大している。
フランスは53.3ポイントと速報値から0.2ポイント上方修正され、6月からは0.8ポイント改善した。生産高の伸びは過去19カ月で最も小さかった前月から加速。新規受注も伸びたが、輸出向け受注は2016年9月以降で初めて減少に転じた。背景には、世界的な貿易摩擦により需要が落ち込んだことがある。雇用ペースの伸びは過去6カ月で最も速い。
ユーロ圏製造業PMIのサブ指数を見ると、生産高の伸びは2016年11月以降で2番目に低い。新規受注の伸びも輸出を中心に減速している。雇用は調査対象の全8カ国で増え、フランス、オーストリア、ギリシャでペースが加速。仕入れ価格の伸びは前月をわずかに下回り、出荷価格の伸びも2017年9月以降で最低を記録した。
IHSマークイットのクリス・ウィリアムソン首席エコノミストは今回の結果について、貿易戦争や関税、物価上昇に加え、経済全般に対する先行き不透明感が反映されたと分析。今後の見通しは過去2年間で最も低い水準にあると指摘した。
■英国は過去3カ月で最低
IHSマークイットによると、7月の英国の製造業PMIは54ポイント。6月から0.3ポイント低下し、過去3カ月で最低を記録した。分岐点の50ポイントは24カ月連続で超えている。
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