欧州委員会のユンケル委員長は25日、米ワシントンでトランプ大統領と会談し、欧州連合(EU)・米国間の貿易障壁の軽減に取り組むことで合意した。自動車以外の工業製品での無関税貿易や、EUによる米国産の大豆および液化天然ガス(LNG)の輸入拡大に向け、作業部会を設置して交渉を進める。米国が6月にEUからの鉄鋼・アルミニウム輸入に高関税を課して以来、欧米間の貿易戦争が懸念されていたが、両首脳が一転、歩み寄ったことにより、ひとまず停戦にこぎ着けた格好だ。
両首脳は会談後の声明で、これらの交渉の継続中は、今回の合意の精神に反する行動をとらないと明言。トランプ氏はかねて、EUからの自動車輸入に25%の高関税を課す可能性を示唆していたが、これに踏み切る可能性はいったん和らいだ。米国の鉄鋼・アルミ関税と、これに対しEUが導入した報復措置についても、解決に取り組む意向を示した。
声明によると、EUと米国は◇自動車以外の工業製品で無関税化と、非関税障壁の撤廃、国家補助の廃止を目指すほか、サービス、化学、医薬品、医療機器、大豆についても貿易障壁の軽減と貿易拡大に取り組む◇EUがエネルギー供給源の多様化に向け、米国産LNGの輸入を増やす◇手続きの簡素化とコスト削減に向け、規格基準について協議する◇世界貿易機関(WTO)改革に取り組む――の4点について合意した。
ユンケル委員長とトランプ大統領は声明で、「EU・米国関係の新段階の幕を開ける」と宣言。「友好を深め、貿易関係を強化し、世界の安全と繁栄に向け協力する」姿勢を打ち出した。欧米間の貿易戦争で最大の打撃を被るとみられていたドイツのアルトマイヤー経済相は、これを受け、「貿易戦争を回避し、何百万人もの雇用を救う画期的な合意だ」とコメントしている。[EU規制]
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