米国のポンペオ国務長官とムニューシン財務長官は、欧州連合(EU)域内の企業を対イラン経済制裁の対象から除外するよう求めるEUの嘆願を拒否する書簡を送付した。イランへの経済的圧力を最大限に行使するためで、制裁除外が適用されるのは米国の安全保障に適う場合のみだとしている。BBC電子版などが16日伝えた。
英独仏の財務相および外務相は6月、米国抜きでのイラン核合意を維持するため、金融やエネルギー、ヘルスケアなどの主要分野を制裁対象から除外するよう求める書簡をポンペオ国務長官とムニューシン財務長官宛てに送っていた。
EU側の要請が拒否されたことにより、米国による対イラン経済制裁は完全な形で8月から再開される見通し。制裁は8月と11月に段階的に発動される予定で、イランとの取引やイランへの投資を続ける企業にも制裁を科すことを決めている。
米国は5月にイラン核合意から離脱するとともに、対イラン経済制裁を再開する方針を表明。制裁解除の条件として、ウラン濃縮や弾道ミサイル拡散の停止、シリアからの同国軍の撤退など12項目の条件を提示している。
欧州各国は米国抜きでも核合意を維持する方針を示しており、欧州企業が米国の経済制裁下でもイランでの事業を継続できるようにするための対抗策をとる考えだが、既にエネルギーや自動車分野の複数企業が相次ぎイランからの撤退を表明している。
EUによる対イラン輸出額は2017年、108億ユーロを記録。イランからの輸入額は101億ユーロに達している。[EU規制]
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