英石油メジャーのBPは28日、電気自動車(EV)充電網で英国最大手のチャージマスター(Chargemaster)を買収することで合意したと発表した。EV技術やインフラの旺盛な需要を取り込む事業戦略の一環。
チャージマスターは英国全土で6,500カ所以上の充電スタンドを運営し、EV充電インフラのサプライヤーでもある。取得後は社名を「BPチャージマスター」に改称し、わずか10分の充電で160キロメートルの走行を可能にする、150キロワットの超急速充電インフラを市場投入する計画だ。BPは英国で充電ステーション1,200カ所を擁し、向こう12カ月で新ブランドへの切り替えを行う予定。
ブルームバーグによると、今回の取引額は約1億3,000万ポンドで、BPがクリーンエネルギー向け投資に充てる年間予算の5億ドルから支払われる。
チャージマスターは2008年の設立で、充電器の設計、製造、販売、運営を一環して行う。同社が展開する充電設備網「POLAR」は英国で最大規模とされ、約4万人が利用する。同社のデイビット・マーテル最高経営責任者(CEO)は「BPによる当社の買収は、英国の車両排出ガス低減に向けた動きとして、真の意味での一里塚となる」と意義を強調した。
BPは2月に公表した最新の長期エネルギー見通しの中で、世界のEV普及台数は、2040年までに現在の300万台から3億台に増加すると予想。EVが車全体に占める比率は、同年には15%に達するが、EVの多くはライドシェア・サービス用の自動運転車が占めるため、自家用車と比べて頻繁に利用されるとみる。
同社は5月、バッテリー技術を手掛けるイスラエルのストアドット(StoreDot)に2,000万ドルを出資すると発表。1月には移動式のEV急速充電器を手掛ける米フリーワイヤー(FreeWire)・テクノロジーズに500万ドルを投資すると明らかにしていた。[環境ニュース][M&A]
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