欧州連合(EU)は18日、オーストラリアとの自由貿易協定(FTA)締結に向けた交渉を正式に開始した。貿易障壁を削減し、域内企業の成長を促すとともに、世界的な自由貿易主義の強化に貢献する狙い。
欧州委員会のマルムストローム貿易担当委員はこの日、オーストラリアの首都キャンベラで同国のターンブル首相およびチオボー貿易・観光・投資相と会談した。双方の代表団による第1回交渉ラウンドは、7月2~6日にブリュッセルで開かれる。EUは5月22日の外相会議で、オーストラリアとのFTA交渉開始を承認していた。
EUはオーストラリアにとって中国に次ぐ世界第2の貿易相手。EUからは主に、自動車などの輸送機器、機械、化学品、食品などを輸出している。EU・オーストラリア間の物品貿易高は近年、着実に増加しており、2017年には約480億ユーロに達した。FTAが締結されれば、これがさらに37%増える見通し。
マルムストローム委員は「EUの貿易パートナーにオーストラリアが加わるのを楽しみにしている」とコメント。「困難な時世の中、同国とは、前向きな貿易協議や優れた貿易協定が双方の得になるいう考えを共有できて心強い」と話し、世界的な保護貿易主義の高まりへの懸念をにじませた。
なおマルムストローム委員は21日、ニュージーランドの首都ウェリントンを訪問し、同国とのFTA交渉を正式に開始する予定。EUは昨年に日本との経済連携協定(EPA)交渉が妥結したほか、今春にはメキシコとのFTA交渉でも大筋合意。また、昨年9月にはカナダとの包括的経済貿易協定(CETA)が暫定発効するなど、アジア・太平洋地域との関係を強化している。
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