独製薬・化学大手バイエルは7日、米農業化学大手モンサントの買収が完了したと発表した。取引額630億ドルの大型買収で、関係当局の承認獲得に約2年を要したが、種子・農薬市場で世界シェアの4分の1以上を握る巨大企業の誕生がようやく実現にこぎ着けた。モンサントはニューヨーク上場を廃止するとともに、117年の歴史を持つ「モンサント」のブランド名が消える見通し。
バイエルは、米司法省から買収条件として義務付けられた独化学大手BASFへの資産売却が完了次第、モンサントとの事業統合に着手する方針で、手続き開始はおよそ2カ月後となる見通し。これとは別に、モンサントの株主に対しては、モンサント株1株につき128ドルが即座に支払われる。
バイエルのベルナー・バウマン最高経営責任者(CEO)は「われわれはより一層、世界の農家がより健康で安価な食料を持続可能な方法で育てることを支援する存在となる」とコメントした。
バイエルは近年、ポリウレタン原料などの新素材開発を手掛けるマテリアルサイエンス部門を新会社コベストロとして分離するなど事業再編を進めており、モンサントの統合後は年商の半分を医薬品部門が、残りの半分を農業部門が占めることとなる。新会社の年商は450億ユーロに達する見通しで、従業員数は11万5,000人。本拠地は独南部モンハイム(Monheim)に置き、北米事業と種子事業は米ミズーリ州セントルイスの拠点が管轄する。
バイエルは2016年9月、モンサントを買収することで合意。種子事業や除草剤など両社の事業が重複する各分野での資産売却を条件に、欧州委員会や米司法省などから承認を獲得した。
農業化学業界ではこのほか、2017年に米化学大手ダウ・ケミカルと同業デュポンが合併。新会社ダウ・デュポンは事業を3分割する方針で、農業部門は「コルテバ・アグリサイエンス(Corteva Agriscience)」として分社化される見通しだ。また、中国の化学大手、中国化工集団もスイスの農業化学大手シンジェンタを買収しており、バイエルのモンサント買収はこれらに続くものとなった。[M&A][EU規制]
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