仏自動車大手グループPSA(旧プジョー・シトロエン・グループ)は4日夜、イラン合弁の事業活動を停止するための手続きを開始したと発表した。米国が再開する対イラン経済制裁の対象となることを避けるための措置で、十分な保護が得られない場合は撤退する可能性を示唆している。
PSAはイランの核合意により制裁が解除された2016年、イランの国営自動車メーカー、イラン・ホドロ(Khodro)・インダストリアル・グループ(IKCO)およびサイパ(Saipa)と相次いで合弁設立を決定し、現地生産を強化していた。
米国のトランプ政権は、自動車メーカーに対して8月6日までにイランでの事業を停止するよう求めている。米国の経済制裁下では、米ドルで行われる全ての取引が制裁の対象となり、多額の罰金が科される可能性もある。PSAはフランス政府のサポートを受けて、米当局に適用除外を検討するよう求めているが、既にイラン合弁への投資を停止するなど撤退を視野に入れた手続きを進めている。
欧州連合(EU)は、イラン核合意を維持するために欧州企業にイランでの事業を継続するよう呼び掛けているが、今回のPSAの決定は新たな逆風となる。仏企業では、石油大手トタルも、米国から制裁免除の措置が受けられない限り、ペルシャ湾にある世界最大級のサウスパース(South Pars)ガス田フェーズ11の開発プロジェクトから撤退する方針を示している。[EU規制]
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