欧州連合(EU)は、中国が欧州企業に不当な技術移転を義務付けているとして、世界貿易機関(WTO)に提訴した。この問題では米国もかねて中国を批判している。EUは米国によるEU産鉄鋼・アルミニウムへの新関税適用についてもWTOに提訴したが、中国に対しては米国と共同戦線を張る格好となる。
欧州委員会によると、中国は技術輸出入規制と中国・外資合弁事業規制により、同国に進出する欧州企業に技術の所有権や使用権を中国企業に譲渡するよう義務付けている。このため、欧州企業は相場に基づく技術移転契約を交渉することができない。EUはこれを、WTOのルールで認められた欧州企業の知的財産権を侵し、外国企業を差別する不当な慣行と訴えている。
米国はこの問題を巡り、中国からの最大1,500億ドル相当の輸入品に制裁関税を課す可能性を示唆している。欧州委員会のマルムストローム貿易担当委員は1日に行われた記者会見で、「EUが米国と中国の両方にWTOで異議を唱えることは、EUがどちらの味方でもない証拠」と説明。「EUは多国間システムとルールに基づく世界貿易を支持する」と話した。
これに対し、中国商務省は「中国政府は常に知的財産権の保護を重視し、国内外の知的財産権保有者の合法的権利と利益の保護に向け多くの強力な措置を取ってきた」と反論している。
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。