トランプ米大統領は5月31日、欧州連合(EU)からの鉄鋼およびアルミニウム輸入に新たな関税を課すと発表した。6月1日からそれぞれ25%、10%の税率が適用される。EUはかねて、これらの関税が適用されれば米国からの一部輸入品に25%の関税を課すとしており、報復合戦の可能性が高まっている。
トランプ大統領は3月、安全保障上の懸念を理由に、鉄鋼・アルミニウム輸入への新関税の適用を開始したが、EUなど一部の国に対する適用決定は6月1日まで先送りしていた。この間に輸入量制限などについて交渉した上で、その結果に応じて決断を下すとしていた。欧州委員会のマルムストローム貿易担当委員は30日、米国のロス商務省長官と関税適用の回避に向けた最後の交渉を行ったが、輸入制限などで折り合いがつかなかった。
EUはかねて、米国がEUを恒久的な適用除外とすることを条件として、自動車など4分野で米国製品への市場開放に向けた貿易交渉に応じる姿勢を示す一方、関税が課された場合には、米国の28億ユーロ相当の輸入品に25%の報復関税を課すとしていた。ロス長官は今回、「EUの反応を見る必要がある」とした上で、今後も貿易交渉に応じる意欲を示した。
関税適用の発表を受け、マルムストローム委員は「世界貿易にとって残念な日だ」とコメントし、世界貿易機関(WTO)に提訴する構えを示した。英政府は「深く失望している」とした上で、「引き続き他のEU加盟国と連携し、EUの対応を慎重に検討する」との声明を出している。
■トランプ氏「ドイツ車を排斥する」
ドイツ車を米国市場から排斥する――。トランプ大統領は4月にマクロン仏大統領と会談した際、こうした考えを示したもようだ。欧米外交筋の話を元に、独経済誌ウィルトシャフツウォッへが5月31日報じた。
トランプ氏はこの会談で、「ニューヨークの5番街からメルセデス・ベンツが姿を消すまでドイツ車を追及する」と話したという。仏政府はコメントを辞退している。米政府は先に、自動車輸入に関する調査に着手。その結果次第では、鉄鋼・アルミニウムと同様、自動車にも安全保障上の懸念を理由に25%の高関税が課される可能性がある。[EU規制]
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