欧州連合(EU)は22日開いた外相会合で、オーストラリアおよびニュージーランドとの自由貿易協定(FTA)締結に向けた交渉を開始することを決めた。自動車機器や機械などの工業製品やサービスの輸出拡大を狙う。ただ、交渉では両国からの農産物輸入をどの程度受け入れるかが焦点となる見通しだ。
EUは、両国とのFTA締結により恩恵を受ける分野として、自動車機器、機械、化学、加工食品、サービスを挙げている。また、オーストラリアとニュージーランドの公共調達市場へのアクセス改善も目指す。一方、農業分野については、域内生産者の保護に配慮し、完全な自由化は考えていないとしている。
EUはオーストラリアにとっては世界第3、ニュージーランドにとっては世界第2の貿易パートナー。2017年の貿易高はそれぞれ477億ユーロ、87億ユーロで、共にEUの出超となっている。EUはFTA締結により、EUから両国への輸出が長期的に見て現在より3分の1程度増えると見込んでいる。
フィナンシャルタイムズによると、ニュージーランドは羊肉や乳製品、オーストラリアは牛肉や砂糖の市場開放をEUに強く求める見通しなだけに、交渉の長期化も予想される。
欧州委員会のユンケル委員長は2017年9月、両国とのFTA交渉開始を提案し、2年以内の合意成立を目指すとしていた。今回の決定を受け、欧州委はセシリア・マルムストローム貿易担当委員が6月に両国を訪問して政治レベルでの交渉を正式に開始し、7月には貿易交渉の初ラウンドを開催するとしている。
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