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海運マースク、赤字拡大 CEOがイラン事業撤退に言及

デンマークの海運大手APモラー・マースクは17日、第1四半期(1~3月)の継続事業ベースの純損失(特別損益除く)が2億3,900万ドルとなり、前年同期の1億3,900万ドルから赤字が拡大したと発表した。独コンテナ輸送会社ハンブルク・ジュート(Hamburg Sued)の買収に絡むコストなどが響いた。なおこの日、ソレン・スコウ最高経営責任者(CEO)はロイター通信のインタビューで、イラン事業からの撤退に言及した。

売上高は30.3%増の92億5,300万ドル。主力の海洋部門は68億1,000万ドルと、37.6%増加した。物流・サービス部門は5.6%、ターミナル・けん引部門は10.6%それぞれ伸びている。グループのEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)は6億6,900万ドルと4.9%増えた。

同社はエネルギー関連事業を分社化し、輸送・物流事業に注力する計画を進めており、掘削部門マースク・ドリリングとマースク・サプライ・サービスは非継続事業に分類されている。タンカー事業マースク・タンカーは昨年10月、石油・ガス部門マースク・オイルは今年3月に売却を完了した。これに伴い、当期から部門名を変更し、これまでのマースクラインやAPMターミナルズ、ハンブルク・ジュートは海洋部門、物流ダムコ(Damco)や内陸部での輸送サービスは物流・サービス部門となる。タグボートのスヴィツァー(Svitzer)はターミナル・けん引部門に組み込まれる。

同社は通年について、特別損益を除いた純利益が2017年を上回ると予想。EBITDAは40億~50億ドル程度になるとみる。

なお、かねて上場もしくは売却を検討していたマースク・ドリリングについては、年内の上場を断念し、売却する方向で進めている。現時点でまだ買収提案は受けていないが、米仏資本の油田掘削サービス大手シュルンベルジェが筆頭株主を務める英領バミューダ諸島のオフショア掘削会社ボア(Borr)・ドリリング 、米同業ダイヤモンド・オフショア・ドリリングが取得を検討しているもようだ。

■イラン事業の撤退も

スコウCEOはインタビューで「米国が経済制裁を再開した以上、同国に大規模なビジネスを抱える当社としては、イランでの事業は行えない」と説明。撤退のタイミングについては明言を避けたものの、撤退することは確かだと述べた。

イラン事業を巡っては、独保険最大手のアリアンツや総合電機大手シーメンス、デンマークの石油タンカー会社マースク・タンカーも既に撤退を示唆している。[M&A]


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