仏蘭資本の航空大手エールフランスKLMは5日、ジャンマルク・ジャナイヤック会長兼最高経営責任者(CEO)が辞任する意向だと発表した。傘下の航空エールフランスの労使交渉を巡り、労組が賃上げ案の受け入れを拒否したため。今後の経営に向けた暫定措置は15日に開かれる取締役会で決定される見通し。同CEOはかねて、合意に達しなければ辞任する意向を示していた。
エールフランスは2018年の賃上げ率を2%とするほか、2021年までに7%の賃上げを保証するとした最終案を提示。一方、労組はかねて2012年からのインフレ上昇率などを反映して今年に5.1%引き上げるよう要求していた。賃上げ案の受け入れを巡り、フランスで従業員契約を結ぶ4万6,771人が投票した結果、55.4%が反対票を投じた。労組は7日も、今年に入り14回目のストを実施している。
BBC電子版によると、ルメール経済財務相は一連の動きを受け、「不当な賃上げを要求しているパイロット、客室乗務員、地上スタッフ全てに責任ある行動を求める」とした上で、「エールフランスは存続の危機にひんしている」と警鐘を鳴らした。なお、政府は同社に14.3%を出資するものの、公的資金で救済する可能性はないとしている。
■第1四半期は赤字拡大
エールフランスKLMは4日、第1四半期(1~3月)の純損失が2億6,900万ユーロとなり、前年同期の1億4,300万ユーロから赤字が拡大したと発表した。需要は旺盛だったものの、従業員による度重なるストで7,500万ユーロの特別損失を計上したことが響いた。
売上高は1.8%増の58億600万ユーロ。座席キロ当たり収入は1.2%増えた。エールフランスは通年について、ストにより少なくとも3億ユーロの損失を被っているとして、見通しを修正。座席供給量を表す有効座席キロ(ASK)は2.5~3.5%拡大すると見る一方、調整後の座席キロ当たりコストは横ばいか1%上昇すると予想している。[労務]
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