独金融最大手ドイツ銀行は26日、第1四半期(1~3月)の純利益が1億2,000万ユーロとなり、前年同期比79%減少したと発表した。同行は併せて、業績不振が続くコーポレート&投資銀行部門の見直しとして、債権や証券のトレーディング業務を縮小する方針を示した。これに伴い、米国やアジアでの大幅な人員削減が見込まれている。
業務粗利益は5%減の69億7,600万ユーロ。税引き前利益は4億3,200万ユーロと51%減少した。うちコーポレート&投資銀行部門は74%の減益と大きく落ち込んだ。アセットマネジメント部門は61%縮小し、プライベート&コマーシャルバンク部門も25%減っている。
貸倒引当金は8,800万ユーロと34%減少。「バーゼル3」全面適用時の普通株式等ティア1レシオ(自己資本比率)は3月末時点で13.4%と、3カ月前から0.6ポイント低下した。
■法人・投資銀事業を全面見直し
ドイツ銀はコーポレート&投資銀行部門の見直しとして、欧州の顧客に注力していく方針を明らかにした。法人向け事業については、足元のドイツや欧州の経済と密接に関連した事業を手掛ける企業や金融機関に軸足を移し、米国やアジアでの活動は縮小する。また、米ドルの為替取引業務についても規模を縮小し、グローバルエクイティ事業も見直しを進める方針。事業規模の縮小の影響を受ける地域では、人員削減を伴う見通しだ。
ドイツ銀は先に、ジョン・クライアン最高経営責任者(CEO)を解任し、リテール部門の共同責任者だったクリスティアン・ゼービング氏を後任に充てた。ゼービングCEOは「ドイツ銀は欧州に深く根差している」と欧州への注力を高める意向を示した上で、「人員削減は痛みを伴うが、長期的な競争力を確保するために残念ながら避けられない」とコメントした。
ドイツ銀は、2021年までにプライベート&コマーシャルバンク部門と資産運用部門DWS(旧称ドイチェ・アセット・マネジメント)からの収入が全体の50%に達すると予想。これにグローバル・トランザクション・バンキング部門を合わせると、売上高に占めるシェアは65%に上る見通しだ。
なお、ドイツ銀は3月にフランクフルト証券取引所でDWSの新規株式公開(IPO)を実施した。DWSの運用資産額は約7,000億ユーロ。今後、投資プラットフォームやデジタル分野の強化に向け、中期的に100人を新規雇用する方針で、これに向けて9,000万ユーロを投資する計画だ。[労務][M&A]
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