サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコは10日、石油メジャーの仏トタルや仏米資本の油田設備・エンジニアリング大手テクニップFMCなど複数のフランス企業と計120億ドル超の契約を締結したと発表した。ムハンマド・ビン・サルマン皇太子の訪仏に合わせて調印式が行われた。
サウジアラムコとトタルは、石油化学コンプレックスの共同開発に向けた覚書(MOU)を結んだ。合弁会社SATORPを通じて運営するサウジ東部ジュバイル(Jubail)の既存の精製施設に、約50億ドルを投じて新たにミックスフィード・クラッカー(MFC)などを併設する。MFCでは、ナフサやSATORPから放出されるオフガスなどを精製し、エチレンなどの石油化学製品を年間150万トン生産する計画だ。両社は併せて、サウジ国内のガソリンスタンド網の共同買収に向けたMOUも結んでいる。
一方、テクニップとはウェルヘッド(坑口装置)および表面処理機器の調達契約を締結。また、仏電機大手シュナイダー・エレクトリックとは設置済み機器の保守契約を結んだ。このほか、サウジラビアの産業投資公社のドゥスル(Dussur)と共に、仏水道・廃棄物処理大手ヴェオリア・エンバイロメントおよび仏公益事業大手エンジー(Engie、旧GDFスエズ)と産業廃水処理関連のMOUを締結している。
ムハンマド皇太子はサウジ経済の脱石油依存に向けた長期経済計画「ビジョン2030」を進めており、サウジアラムコも同計画に基づき事業の多角化に取り組んでいる。アミン・ナセル社長兼最高経営責任者(CEO)は「当社は、ポートフォリオ拡大計画の一環として、向こう10年に極めて野心的で大規模な投資を行う予定」とした上で、「その中には世界的規模のプロジェクトも多数含まれており、フランス企業が技術力の提供を通じて大きな役割を担う可能性がある」と話している。[M&A]
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