金融情報サービス会社IHSマークイットは3日、3月のユーロ圏製造業PMI(購買担当者景気指数、確定値)が56.6ポイントになったと発表した。速報値から変化がなく、前月からは2ポイント低下。景気の「改善」と「悪化」の境目である50ポイントを57カ月連続で超えているものの、過去8カ月で最低を記録している。
調査対象の8カ国のうち、オランダは61.5ポイントで過去5カ月で最低に沈んだ。オーストリアは58ポイントで過去10カ月で最も低い。イタリアは55.1ポイント、ギリシャは55ポイントにそれぞれ低下。スペインは54.8ポイント、アイルランドは54.1ポイントでそれぞれ過去6カ月、過去12カ月で最低を記録した。
ユーロ圏経済をけん引するドイツは58.2ポイント。速報値から0.2ポイント下方修正され、2月を2.4ポイント下回った。3カ月連続で低下し、2017年7月以降で最も低い水準となっている。新規受注は過去16カ月で最も勢いが弱まり、輸出向け受注の伸びは2017年1月以降で最も小さい。一方、雇用ペースは過去7カ月で最も減速したが、2011年以降で最高に近い水準を維持している。
フランスは53.7ポイントと、速報値から0.1ポイント上方修正されたが、2月からは2.2ポイント低下した。新規受注の伸びは過去13カ月で最も縮小。雇用ペースも減速した。
ユーロ圏製造業PMIのサブ指数を見ると、生産高と新規受注の伸びは共に2016年11月以降で最も減速。雇用は調査対象の全8カ国で拡大したものの、ペースは鈍化した。仕入れ価格の上昇率は過去6カ月で最低を記録したが、高水準を維持している。出荷価格は上昇傾向にある。
IHSマークイットのクリス・ウィリアムソン首席エコノミストは、ユーロ圏の製造業PMIの下げ幅は2011年6月以降で最大で、3カ月連続で減速しているものの、製造業の成長ペースは高水準を保っているとコメント。第1四半期(1~3月)の域内総生産(GDP)に大きく貢献すると予想した。
■英国はほぼ横ばい
IHSマークイットによると、3月の英国の製造業PMIは55.1ポイント。2月から0.1ポイント上昇したが、分岐点の50ポイントは20カ月連続で超えている。第1四半期の製造業生産の伸びは、0.4~0.5%程度にとどまる見込みという。
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