米自動車部品大手デーナ(Dana)は26日、英自動車・航空部品大手GKNのドライブライン部門を統合する計画を巡り、提示額を引き上げるとともに、買収後の自社株買い戻しの規模を倍増すると発表した。エンジニアリング関連の投資会社メルローズ(Melrose)・インダストリーズによるGKNへの株式公開買い付け(TOB)の締め切りが29日に迫る中で、対抗姿勢を強めている。
新たな条件は、GKNの株主がデーナから受け取る現金部分を8.6%引き上げて約17億7,000万ドルとする。GKNの株主が取得する新会社の株式は47.25%で変わらない。また取引が成立した後の自社株買戻しを当初の2倍の2億ドルに引き上げる。デーナは統合後のシナジー効果は2億3,500万ドルになると強調している。GKNも当初の方針通り向こう3年で計25億ポンドの現金を株主に還元するが、取引成立後に1回目の支払いとして最大7億ポンドを還元することを明らかにしている。
一方、クラーク・ビジネス・エネルギー・産業戦略相は同日、メルローズにGKNの買収案について質問状を送付した。GKNが国内でも最大級の製造企業である上、英軍への供給などで安全保障にも関わるため。質問状では、買収が成立した場合にGKNに必要な点として、引き続き英国企業として英国に本社を置き英国で上場すること、英国の雇用を守り従業員の既存の権利を尊重すること、研究開発(R&D)投資を続け従業員の訓練にも投資すること、既存および将来の年金受給者のため取り決めを行うことを求めている。
これに対してメルローズは、航空宇宙部門を5年間は売却しないこと、英国上場を5年間は継続すること、R&D支出を売上高の2.2%以上とすることなどを約束している。[M&A]
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