政府は26日、少なくとも2020年末まで電力・ガス料金に上限を定める法案を議会に提出した。全国の1,100万世帯が対象となる見通し。エネルギー市場で正常な競争原理が働いていないとの見解から、一部の消費者を保護する措置を導入する格好だが、業界は投資意欲を妨げると反論している。
政府によると、エネルギー市場で競争が機能していないため、大手6社の顧客は年間計14億ポンドを余分に支払わされている。中でも、高齢者や低所得層は料金の安い電力・ガス会社に切り替えず、割高な標準変動料金を支払い続けているケースが多い。標準変動料金とより割安な固定料金との差額は、1世帯当たり年間で最大300ポンドに上るという。
この法案は、エネルギー業界の監督機関Ofgemに対し、2020年末まで家庭用の標準変動料金に上限を設定するよう義務付ける内容。また、Ofgemはさらに2023年まで1年ごとに、料金の上限設定を延長するよう政府に提言できる。
BBC電子版によると、政府は年内に法案を成立させ、次の冬までに料金の上限を導入する意向。これに対しエネルギーの業界団体エナジーUKは、料金に上限を設定すれば投資や競争を妨げるとして、料金の上限には余裕を持たせるよう要請している。なお、独エネルギー最大手エーオンの英子会社エーオンUK、英ガス・電力大手セントリカの小売部門ブリティッシュ・ガス、スコティッシュ・パワーはいずれも既に標準変動料金の廃止に向けた措置を取っているが、固定料金制を選ばない顧客には、依然として標準変動料金が適用されている。
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