• 印刷する

ダイムラー、吉利が筆頭株主 EVや自動運転での協業模索か

独自動車大手ダイムラーは、中国の浙江吉利控股集団がダイムラーの株式9.69%を取得したと発表した。取引額は90億ドルに上り、高級車部門メルセデス・ベンツなどを擁する有力メーカーの筆頭株主となった。吉利は電気自動車(EV)や自動運転技術などで協業し、米国のEV大手テスラや自動運転車の開発を進めるグーグル、配車サービス大手ウーバー(Uber)といった新たな競合を迎え撃つ狙いとみられる。

吉利の李書福会長が株式を購入した形で、現時点では出資比率のさらなる引き上げは計画していないという。李会長は「既存の自動車業界のプレイヤーは、友好企業なしに外部からの侵略者との戦いに勝てないだろう」と指摘。技術的な主導権を握るには他社との協力が不可欠で、ダイムラーへの投資はこうしたビジョンに基づくものだと説明した。

吉利は昨年11月、ディスカウント増資による5%株の引き受けを提案していたが、ダイムラーは既存株主の持ち株の価値が低下することを懸念し、これを断った。関係者によると、吉利は米投資銀行モルガン・スタンレーの元幹部の協力の下、市場で株式を買い集めたとみられている。

ダイムラーは、新たに長期的な株主が加わることは喜ばしいとコメント。ドイツ政府は、競争上の規制および外国投資の規制のいずれの観点から見ても、吉利の投資に対して行動を起こす必要性はないとしている。

吉利は、スウェーデンの高級車メーカー、ボルボ・カー・コーポレーションやロンドンの名物タクシー「ブラックキャブ」を手掛けるロンドンEVカンパニー(LEVC、旧ロンドン・タクシー・カンパニー)、英スポーツカーメーカー、グループ・ロータスなどの欧州メーカーを傘下に持つ。昨年12月にはトラックで欧州最大手のボルボ(スウェーデン)に33億ドルを出資して筆頭株主となったほか、「空飛ぶ自動車」の開発を進める米新興企業テラフジア(Terrafugia)も買収している。

■中国にメルセデスの新工場

ダイムラーは26日、中国国有の北京汽車工業(BAIC)と共同で中国にメルセデスの新工場を建設すると発表した。吉利が筆頭株主に躍り出る中、両社がこれまで培ってきた関係性を強調するものとなった。

両社は119億元(18億7,800万ドル)を投じ、合弁会社である北京ベンツの最新鋭の新工場を設ける。EVなどを含むメルセデス車の生産能力を拡大する方針。[M&A][環境ニュース]


関連国・地域: 英国ドイツスウェーデンアジア米国
関連業種: 自動車・二輪車電機その他製造金融建設・不動産運輸IT・通信サービスマクロ・統計・その他経済

その他記事

すべての文頭を開く

独首相、部分的合意を確信 7月9日までに=対米貿易交渉(06/19)

独シーメンス、マドリードにデータセンター(06/19)

閣議、「建設ターボ」承認=住宅着工を加速(06/19)

不動産金融pbb、米事業から撤退へ(06/19)

防衛ラインメタル、米社とドローン共同開発(06/19)

タイヤのコンチ、伊のブレーキ工場を売却(06/19)

仏トタル、北海洋上風力の開発権取得(06/19)

JAL、メーブと次世代航空機の開発で覚書(06/19)

点検用ドローンのボリロ、2300万ドル調達(06/18)

MAN、電動トラック量産 生産ラインはディーゼルと共通(06/18)

すべての文頭を開く

※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。

の記事は有料サービスご契約者様限定記事です。契約すると続きをお読みいただけます。契約されている方は、画面右側にある各種ログインからログインください。
無料トライアルはこちら
購読申し込みはこちら

NNAからのご案内

各種ログイン