英国とスイスに本社を置く石油化学大手イネオス(Ineos)は9日、スコットランド自治政府がシェール(頁岩)ガスのフラッキング(水圧破砕法)による採掘を禁止したことを不服とし、裁判所に提訴したことを明らかにした。
同自治政府は昨年10月、2015年に一時的な措置として導入したフラッキングの全面凍結を「無期限」に延長することを決めた。イネオスはスコットランドで、中部スターリング(Stirling)からリンリスゴー(Linlithgow)と、リンリスゴーからグラスゴーの東にかけた地域でのフラッキング探査権取得に5,000万ポンドを投資している。
イネオスのシェール事業のトム・ピッカリング運営担当取締役は今回、「昨年10月の決定はスコットランドの科学とエンジニアリング業界にとって大打撃であり、イネオスをはじめとする企業だけでなく国全体に経済的損失をもたらした」と指摘。「禁止措置の合法性に重大な懸念を抱いていることから、裁判所に審査を求めることにした」と説明する。
また同氏は、イネオスはフラッキングに支援的な規制環境を背景に、何年もかけて投資を行ってきたと強調。「スコットランドがビジネスの場として真剣に検討されたいのなら、投資を誘致した政策的支援を、適切な手続きや妥当な経済的補償もなく単純に撤回するべきではない」と訴えている。
スコットランド自治政府が昨年2~5月に実施した意見公募では、6万500件の回答のうち99%がフラッキングに反対していた。ただ、専門家から成る諮問委員会は、フラッキングが環境に及ぼす影響は制御可能との見解を示している。[環境ニュース]
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