欧州連合(EU)は5日に開いた財務相理事会で、タックスヘイブン(租税回避地)のブラックリストを承認した。韓国やモンゴル、パナマ、チュニジア、アラブ首長国連邦(UAE)など17カ国・地域が名を連ねる。かねて取り組む租税回避防止策の一環だが、制裁内容で加盟国が合意に至らなかったため、抑止力には疑問が持たれている。
ブラックリストには他に、米領サモア、バーレーン、バルバドス、グレナダ、グアム、マカオ、マーシャル諸島、ナミビア、パラオ、セントルシア、サモア、トリニダードトバゴが含まれる。
EUは、税制の透明性と公正さ、税源浸食と利益移転(BEPS)の防止策が取られているかをブラックリストの基準とした。10月には、これら基準を満たしていないとみられる全ての国・地域に警告を通知するとともに、一定期間内に是正措置を取るよう求めた。その上で今回、協力に応じなかった国・地域をブラックリストに掲載している。
EUは併せて、現行ではEUの基準に準拠していないものの、税制の変更に取り組んでいる47カ国・地域から成る「グレーリスト」も策定。これには、スイスやトルコ、香港のほか、英領のバミューダやケイマン諸島、英王室領のガーンジーやジャージー、マン島が含まれている。
タックスヘイブンのブラックリストの策定はかねて懸案事項となっていたが、11月に富裕層や企業がオフショア企業を通じて巨額の税金を回避していたことを示す「パラダイス文書」が流出したことを受け、作成を急いだ経緯がある。
EUは今後、ブラックリストに掲載された国・地域に対し、開発援助以外の資金提供を停止する方針。ただ、金融制裁などを科す案については、導入を見合わせた。抑止力を持たせるにはより厳しい制裁が必要との見方もあるが、ルクセンブルクやマルタなど一部加盟国はこれに反対している。[EU規制]
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