経済協力開発機構(OECD)は28日発表した世界経済見通しの中で、ユーロ圏の今年の域内総生産(GDP)成長率が2.4%になるとの見通しを示した。世界経済および貿易の回復や、成長促進に向けた金融緩和策、政治的な先行き不透明感の軽減を背景に、前回6月時点の予測から0.6ポイントと大幅に引き上げている。一方、英国の成長見通しは1.5%に下方修正し、欧州連合(EU)離脱交渉の行方次第ではさらに押し下げられる可能性もあるとしている。
OECDは、ユーロ圏経済は着実に回復を続けており、広範な産業分野や国々に成長のすそ野が広がっていると評価。成長の原動力は主に内需だが、輸出も引き続き上向いているとしている。来年のGDP成長率見通しも前回から0.3ポイント引き上げたが、伸びは2.1%に減速し、2019年は1.9%に落ち着くとみている。
国別では、ドイツの成長率見通しは今年が2.5%、来年は2.3%となり、2019年は1.9%に減速するとみる。フランスは今年、来年とも1.8%伸び、2019年は1.7%へとやや鈍化する見通し。イタリアは今年が1.6%、来年は1.5%、2019年は1.3%と予想する。スペインは今年は3.1%伸びるものの、来年は2.3%、2019年は2.1%への減速を見込む。
ユーロ圏外では、英国の今年の成長率見通しを前回から0.1ポイント引き下げ、1.5%とした。来年については0.2ポイント上方修正したが、伸びは1.2%にとどまるとみており、2018年はさらに1.1%に減速すると予想する。この予測は、英国のEU離脱後に制度の急変を避けるための移行期間を設けることで、両者が合意することを前提としている。OECDは、EU離脱プロセスを巡る先行き不透明感は英経済にとっての最大のリスクと指摘する一方、英国がEUと可能な限り緊密な経済関係を結ぶとの見通しが立てば、英経済は予想以上に伸びる可能性もあるとしている。
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