欧州連合(EU)加盟27カ国(英国を除く)は20日、ロンドンに本部を置く2つのEU機関のブレグジット後の移転先を決める投票を行った。欧州医薬品庁(EMA)の移転先はアムステルダムに、欧州銀行監督機構(EBA)の移転先はパリに決定した。
EMAの移転先には、アムステルダムを含む16都市が最終的に立候補していた。ブリュッセルのEU本部で行われた投票は、複数回の投票を経て段階的に候補都市を絞る方式で、1回目の投票結果でまずミラノとアムステルダム、コペンハーゲンが候補に残った。続いて行われた第2回投票では、コペンハーゲンが脱落し、ミラノとアムステルダムが決選投票に進んだ。スロバキアが投票を棄権していたため、決選投票では両都市の得票数が共に13票で並ぶ事態となり、くじ引きの結果、アムステルダムに決定した。
有力候補の1つとされていたスロバキアのブラチスラバは、第1回目の投票を通過できなかった。EMA内のLGBT (レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)グループが8月末、同庁のトップなどに宛てた書簡で、同性パートナーシップを認めていない国への移転に抵抗を示しており、これが理由となった可能性がある。
EMAはヒトおよび動物向けの医薬品の評価・監督機関で、加盟各国の当局による医薬品の販売承認をサポートする役割を担う。1995年からロンドンに設置されており、職員数は約900人。
一方、EBAの移転先には、パリにブリュッセル、ダブリン、フランクフルト、プラハ、ルクセンブルク、ウィーン、ワルシャワを加えた8都市が立候補していた。
EBAはEUの金融安定性を確保するために2011年に設置。域内銀行のストレステスト(健全性審査)の実施機関として知られる。職員数は170人超。
なお、各都市とも、EMAとEBAの両方に立候補することはできなかった。[EU規制][労務]
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