欧州議会は、欧州連合(EU)域外からの輸入品を巡る反ダンピング(不当廉売)措置を強化する法案を554対48の賛成多数で可決した。域内の雇用と産業を守るため。かねて問題となっている中国など域外国から輸入される安価な製品に対し、新たな対抗策を講じる。
新法案は、10月に非公式に承認されていたもので、年内の発効が見込まれている。関税などの反ダンピング措置を決める際に、環境や労働といった基準を考慮に入れることや、EU企業に対しては、反ダンピング措置の申請に当たり、輸出元国の情報を提供することなどを定めた。また、中小企業が申請しやすくなるよう支援を行う。さらに、貿易保護措置の決定に労働組合などの意見を取り入れることも決定した。
EUはかねて、中国政府が自国企業に対し多額の補助金を拠出していることを問題視し、鉄鋼製品を中心に反ダンピング関税を課している。一方の中国は昨年12月、EUが調査に用いている「代替国」制度の停止を求めて世界貿易機関(WTO)に提訴。この制度が反ダンピング措置を発動しやすい環境を作っていると指摘している。
なお欧州委員会のマルグレーテ・べステアー競争担当委員は16日、北京で中国の国家発展改革委員会のトップと会談。今年6月に締結した国家補助や公正な競争を巡る枠組み合意に基づくもので、両者が良い経済関係を維持できるよう協力していくことを確認した。[EU規制]
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