独総合電機大手シーメンスは16日、向こう数年に世界で約6,900人を整理すると発表した。うち半数が国内で働く従業員となる見通し。同社は、電力業界で化石燃料から再生可能エネルギーへの移行が進んでいることを背景に、低迷するタービン事業の見直しを計画しており、人員整理もこれに伴う措置。
シーメンスは、タービンを手掛ける主力の電力・ガス部門と、パワージェネレーション・サービス部門、プロセス&ドライブ部門を統合する計画で、これら3部門が整理の対象となる。中でもパワー・ガス部門では6,100人が整理される見通しで、ポーランド国境に近いゲルリッツ(Gorlitz)とライプツィヒの工場が閉鎖されるほか、中部エアフルト(Erfurt)の発電機工場は売却が検討されている。
地元誌マネージャー・マガツィーンは10月、同社が電力・ガス事業本部で大規模なリストラを実施すると報道。世界に23カ所ある拠点のうち最大11カ所を閉鎖・売却する計画で、数千人が整理される可能性もあると伝えていた。
再生可能エネルギーの台頭を受け、火力発電所の新設件数が減る中、シーメンスが得意とする大型ガスタービンの需要は激減。電力・ガス部門では、2016年7月~2017年6月の受注高が1年前から約40%減少した。世界の大型ガスタービン・メーカーの生産能力が年間400基であるのに対し、今後の需要は年間約110基の水準で推移すると予想されている。
同社のリサ・デービス取締役は今回、「電力産業はいまだかつてない規模とスピードの激変を経験している」とした上で、「当社は約3年にわたり、こうした市場の変化に応じて事業規模を調整する努力を続けており、今回の措置もそれに続くもの」と説明した。シーメンスは2014年に打ち出した事業再編計画に基づき、組織を16事業本部から9事業本部へと簡素化していたが、今回の3部門の統合によりさらにスリム化が進むことになる。[労務][M&A][環境ニュース]
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