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20カ国が脱石炭同盟を結成 パリ協定達成目指す=COP23

ドイツ西部ボンで開かれている国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の第23回締約国会議(COP23)で、欧州11カ国を含む世界25カ国・自治体が16日、脱石炭同盟の結成を宣言した。地球温暖化対策の国際的枠組みであるパリ協定の目標達成に向け、石炭火力発電からの脱却を加速させる狙い。今後、世界の政府や企業、団体に参加を呼び掛け、来年のCOP24までにパートナー数を50件以上に増やすことを目指す。

「パワリング・パスト・コール(Powering Past Coal)同盟」は、英国とカナダ、マーシャル諸島が世界各国に呼び掛けて実現した。結成宣言では、「現在、世界の電力のほぼ40%が石炭火力発電によって賄われている」とした上で、石炭燃焼による大気汚染が原因で死亡する人は世界で年間80万人に上ると指摘。「世界の気温の上昇幅を2度未満に抑えると共に1.5度未満に近づけるというパリ協定の目標を達成するためには、先進国で2030年までに、その他の国でも2050年までに石炭の使用を段階的に停止する必要がある」と訴えた。

これに向け、参加政府は、二酸化炭素(CO2)回収装置のない旧式の石炭火力発電所の段階的閉鎖および新規建設の停止を約束する。また、参加企業・団体は石炭由来でない電力を使用し、すべてのパートナーが政策や投資を通じてクリーン電力の振興と従来型石炭火力発電の制限に取り組むとしている。この同盟に法的拘束力はない。

この日の時点で、欧州からこの同盟に参加しているのは、英国にオーストリア、ベルギー、デンマーク、フィンランド、フランス、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、ポルトガル、スイスを加えた計11か国。このほか、ニュージーランドやコスタリカなど欧州以外の8カ国と、カナダの4州およびバンクーバー市、米国のワシントン州が同盟に名を連ねている。

ただ、ドイツ、ロシア、米国、中国、インドなど世界でも特に石炭使用量が多い国々は参加していない。米国のトランプ政権はパリ協定からの脱退を表明しており、先にはCOP23と並行して化石燃料や原子力発電を振興するイベントを開催。エネルギー各社の代表がこれに参加した。COP23は6日に開幕し、会期は17日まで。なお、来年のCOP24は、欧州でも大気汚染が最も深刻な都市の1つであるポーランド南部カトウィツェ(Katowice)で開催される。[環境ニュース]


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