英国の欧州連合(EU)離脱交渉が決裂した場合、英高級車メーカーのアストンマーティンは生産停止を余儀なくされる可能性がある――。同社のマーク・ウィルソン最高財務責任者(CFO)が下院のビジネス・エネルギー・産業戦略委員会でこうした見方を明らかにした。BBC電子版が14日伝えた。
アストンマーティンは全車両を英国内で生産している。英国がEUとの合意なしに離脱した場合、英運輸省傘下の車両認証機関VCAによる新車認証はEU域内での効力を失うことになる。同CFOは、「新たに認証を受け直すことになれば、生産を停止せざるを得ない」とした上で、「制度の激変を避けるための移行期間が設置されれば、その間にVCA以外の機関による再認証の取得について検討できる」と話した。
ビジネス委員会にはウィルソン氏のほか、自動車製造取引業者協会(SMMT)のマイク・ホーズ最高経営責任者(CEO)とホンダの英現地法人ホンダモーターヨーロッパのパトリック・キーティング渉外担当者も出席。いずれも、EUとの移行期間の取り決めの明確化を求めた。
キーティング氏によると、ホンダが新関税制度に基づく欧州への輸出準備を整えるには1年半の期間が必要。同社はEU域内から毎日200万個の部品をトラック350台で輸入しており、税関手続きが15分遅れれば、最大で年間85万ポンドの損失につながる可能性もあるとしている。国内在庫の拡大などについて決定を下すためには、2018年3月までに移行期間に関する明確な見通しが必要だと強調した。
またホーズ氏は、ブレグジット後に非EU諸国と自由貿易協定(FTA)を結んでも利益を得ることは難しいと指摘。FTAでは通常、製品に使われる部品の6割が自国で生産されていることが適用の条件となるが、英自動車産業は欧州のサプライチェーンに組み込まれており、英国車の国産部品は5割に満たないという。[EU規制][日本企業の動向]
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