英国の欧州連合(EU)離脱を巡る両者間の第6回交渉に臨んだ欧州委員会のミシェル・バルニエ首席交渉官は10日、英国に対しEU拠出金の清算問題について2週間以内に明確な姿勢を示すよう求めた。BBC電子版などが伝えた。
バルニエ氏は英国のデービスEU離脱相との会談後の記者会見で、12月のEU首脳会議(サミット)で貿易交渉開始のゴーサインを得るためには、英国は2週間以内にEU拠出金の支払いを巡る立場を明確にする必要があると指摘。一方のデービス氏は、この日の協議では全般的に進展が見られ、交渉は「重要だが数少ない未解決の問題」に絞り込まれていると強調している。
両者はEU拠出金のほか、英国在住のEU市民およびEU在住の英国民の権利、英・アイルランド国境問題について協議。EUはかねて、これら3つの重要事項で合意しない限り、ブレグジット後に向けた貿易交渉は開始しない方針を示している。EU市民と英国民の権利を巡っては、両氏とも進展があったとして認識が一致。英領北アイルランドとアイルランドとの国境については、欧州委が先に北アイルランドをEU単一市場および関税同盟内にとどめる案を示唆したが、デービスEU離脱相はこれを拒否。同相はこの日の記者会見でも、同問題について「率直な話し合いを行った」とした上で、「英国内に新たな国境を設けることはできない」と強調した。
メイ英首相は先のテレグラフへの寄稿で、現在、下院で審議されているEU離脱法案を修正し、2019年3月29日午後11時に英国がEUを離脱すると明記する方針を明らかにした。これはメイ首相がEU離脱を正式に通告した日から2年後に当たる。EU規則ではもともと、離脱交渉の期限は2年間と定めているが、法案の表紙に日時を明記することにより、政府のブレグジット完遂に向けた決意を示すとしている。与党・保守党内のEU離脱派はこれを歓迎しているが、議会には離脱交渉の妥結には2年以上かかるとの見方もある。[EU規制]
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。