欧州連合(EU)は7日に開いた財務相会議で、タックスヘイブン(租税回避地)のブラックリストについて協議したもようだ。富裕層や企業がオフショア企業を通じて巨額の税金を回避していたことを示す「パラダイス文書」が流出したことを受け、懸案事項だったブラックリストの作成を急ぐ。ロイター通信が伝えた。
EU加盟各国は、ブラックリストを年内にまとめて公表することを目指している。EUが策定に取り組む租税回避防止策の一環で、リストの公表による抑止効果を狙うとともに、悪質なケースでは制裁を科すことも検討している。制裁の内容は定まっていないが、フランスはこうした国への経済援助を削減することを提案している。
欧州委員会のピエール・モスコビシ経済・財務・税制・関税担当委員は「EUのブラックリストは経済協力開発機構(OECD)の既存リストより厳格な内容とするべき」と話している。
フィナンシャルタイムズによると、EUは公正な税制の定義として、税金免れのための利益移転を可能にする税制上の優遇措置を企業に提供していないことや、OECDの定めた透明性基準を満たすこと、OECDの利益移転防止ガイドラインを遂行していることを挙げている。EUは既に、この基準を満たしていないとみられる53カ国・地域に対し、ブラックリストに掲載される可能性があることを警告済みという。
タックスヘイブンのブラックリストを巡っては、欧州委が2015年6月、10カ国以上の加盟国がタックスヘイブンと見なした国をリストアップし、30カ国から成るリスト案をまとめたものの、基準が恣意(しい)的で公平さに欠けると批判を浴びた経緯がある。[EU規制]
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