ノルウェーの石油大手スタットオイルは18日、英スコットランド沖に建設した世界初の浮体式洋上風力発電プラント「ハイウィンド(Hywind)」の運転を開始したと発表した。生産された電力はスコットランドの送電網に送られる。
「ハイウィンド」は、スコットランド北東部アバディーンシャー州ピーターヘッド(Peterhead)の沖合25キロ、水深最大129メートルの地点に、海面からの高さが175メートルの超大型タービン5基を設置した。海底に据え付けられた鉄製チューブを使って洋上に係留されている。タービンは7月末からノルウェー沖から運び込まれ、8月に全5基の設置が完了した。発電容量は合わせて3万キロワットで、約2万世帯に電力を供給する計画だ。また、電力の安定供給のため、発電された電力の一部はリチウム電池に蓄電される。
海底に発電機を固定する従来の方法では水深50メートル地点までが限界だったが、「ハイウィンド」のタービンは水深800メートルまで設置可能。スタットオイルは同プロジェクトの開発に15年以上をかけ、2009年からノルウェー南西部の北海沖で試験を進めてきた。同社は「ハイウィンド」が成功すれば、日本や米国の西海岸、地中海などでの洋上風力発電にも道が開けると期待している。
開所式に出席したスコットランド自治政府のスタージョン首相は、「今回のプロジェクトは、スコットランドの膨大な洋上風力資源の可能性や、次世代の洋上風力技術の開発でスコットランドが国際競争の最前線にいることを示すもの」と述べた。また、再生可能エネルギーの環境的利益に加え、スコットランド経済にも大きく貢献するとしている。
「ハイウィンド」の総工費は約2億ポンドで、スコットランド自治政府も補助金を出す。プロジェクの権益比率はスタットオイルが75%、アラブ首長国連邦(UAE)アブダビ首長国の国有再生可能エネルギー会社マスダール(Masdar)が25%となっている。[環境ニュース]
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