国際通貨基金(IMF)は10日に発表した世界経済見通しで、ユーロ圏19カ国の今年の域内総生産(GDP)が前年比2.1%拡大するとの見方を示した。国際的な経済活動の活発化を背景に、前回7月時点の予測から0.2ポイント上方修正した。一方、英国の成長率見通しは、2017年第2四半期(4~6月)のGDPが0.3%増にとどまったため、前回の予想を据え置いた。
IMFはユーロ圏の来年の成長率見通しも0.2ポイント引き上げ、1.9%とした。ただし中期的には低い生産性や人口の減少傾向、一部加盟国の公的債務や民間債務の水準から成長が抑えられると指摘している。
ユーロ圏主要国の成長率予測を見ると、ドイツは今年と来年共に前回から0.2ポイント引き上げ2%と1.8%。フランスは共に0.1ポイント上方修正し1.6%、1.8%と予測している。イタリアは今年が1.5%、来年が1.1%で、それぞれ0.2ポイント、0.1ポイント引き上げた。スペインは今年が3.1%と前回から据え置いたが、来年は0.1ポイント引き上げて2.5%とみている。
英国はポンド安による物価上昇で世帯収入が圧迫されて個人消費が低迷しているため、成長率は今年が1.7%、来年が1.5%と、いずれも前回から据え置いた。中期的には不透明感が強く、欧州連合(EU)離脱後の貿易関係に左右されると分析する。
ロシアの成長率見通しは今年が1.8%、来年が1.6%とそれぞれ0.4ポイント、0.2ポイント引き上げた。原油価格が安定しているほか財政状況が好転し、景況感も回復していることを理由に挙げた。
世界経済の今年の成長率は、国際金融の良好な環境や先進国経済の回復を背景に0.1ポイント引き上げて3.6%と予測。2018年についても3.7%と0.1ポイント上方修正している。
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